雛人形は、人形だけ販売されているという事はあまりなくて、
大層な屏風や雪洞などにセッティングされて販売されているのが通常です。
この「セット」を詳しく見ていくと、もっと楽しく雛人形選びができます。
セットの構成について
雛人形のセットは、以下の内容で構成されます。
- 屏風
- 飾り台
- 花飾り
- 雪洞
- 前飾り
各カテゴリのざっとした説明は以下の記事にまとめています。
屏風について
屏風の種類などは以下の記事で紹介しました。
今回は、もう少し踏み込んで紹介したいと思います。
屏風はセットの中において、雛人形本体に次いで高価な部品です。
具体的に屏風一枚の価格を表示しているお店は少ないですが、セット変更の際に聞いてみると金額がわかります。
ざっくりとした価格で言うと、2万円位~と思っておいて良いと思います。
基本の屏風 金屏風
箔をはった面を人形の背景にする屏風を総じて金屏風といい、屏風の基本といえます。
値段を抑えるのであれば、[黒枠・蝶番・三曲・洋金箔] が良いです。
このタイプは一番需要が多いため、たくさん作られており安定した商品になります。
この「洋金箔」という箔は見た目は金箔に見えますが、亜鉛と銅で作られた箔であり金を使用していないためコストが下がります。
ただし、ギラギラと反射が強い金なので安っぽく見えるという意見もあり、見る方が見たらわかります。
これを「本金箔」とか「金箔」というタイプに変更したとしても、価格はそれほど大きく変わらず、大体2万円が2万5千円になる位です。
よく「金沢箔」という記載を見ますが、これは金の質の事ではなく、「金沢で作った箔」を使っているという意味です。金沢で作った洋金箔の屏風もあります。ややこしいですね。
そしてこの[黒枠・蝶番・三曲] というタイプ、現代的なセットにおいてはほとんど使われていません。
SNSでお洒落な雛人形を見てみると、このタイプの屏風で飾っている写真はほとんど出てきません。
デザインとして支持されていないというのが現状です。
デザインを凝らした屏風
近年の屏風はほぼこういうタイプになるのではないかと思います。
以前説明した「唐紙」タイプもそうです。
デザインタイプは、作りや素材で大体は見分けられますが価格も結構幅があります。
これは、袖の面に立体的な縦筋の模様が入った屏風です。ベースは金ですが縦のシワによって様々な表情を見せます。こういうタイプは価格は結構します。
この2種類は、建材の壁紙を使用している屏風です。モダンな家づくりのノウハウから、近年、様々なデザイン壁紙が屏風の素材に使われています。価格は抑えられた作りです。
花柄の屏風です。デザインも現代アート風の柔らかい印象。紙に加工が入っているタイプ、大きくて重厚なつくりのタイプは4万~位はしますが、プリントされた紙を略式で作った屏風は2万円以下のものも多いです。
屏風にLEDライトが仕込まれているタイプもあります。
木目を活かした無垢の枠や蝶番に真田紐を使ったり、屏風面のデザインも秀逸なこの屏風は、和モダンな家に飾りたくなります。このタイプは5万円~はすると思います。
略式の作りで二種類の紙を張った屏風です。不均一な縞模様のデザインです。
デザインに凝ったタイプの屏風は、総じて価格が上がりやすい傾向があります。
お客様の好みも多様化しており、たくさん作ってたくさん売るという事ができないため、一つ一つの価格を上げて利益を作るしかないのです。
それでも、一枚クレームがあればそのための送料負担で赤字になるような薄利の屏風もあります。
厳しい世界ですが、それでも各社デザインを考え、価格を抑えながら頑張っておられます。
屏風のブランドメーカー
屏風の世界にも、製法・品質が高く歴史がある有名なメーカーがあります。
東京の「片岡屏風店」
京都の「北村松月堂」
この二社は業界内において良い屏風を探すときに出てくるメーカーです。
北村さんに至っては、現代においてホームページもSNSも無いようです。
そこらへんがまた非常に興味をそそるところです。
作り方は昔ながらの製法に則り本装の作り、屏風だけで物語が見えるようです。
雛人形本体よりも高いものも多く、たいていの雛人形が負けるかもしれません…
ただ、一般的な売り場に簡単にセットされていることは無く、それなりの格式の人形に対してセットされています。
まとめ
雛人形のセットを見るときは、屏風にも目を凝らすとよいです。
人形本体と屏風だけですべて決まるといっても過言ではありません。
人形を生かすも殺すも屏風次第です。
また、だれもが良いなと思うような屏風はやっぱり価格も高いです。
反対に、まぁ無難かなぁと思うような屏風は安価です。
ですが、人形に合う屏風というのを色々と考えて選ぶという工程は、雛人形選びの楽しみの一つです。ぜひたくさん迷ってください。