柄の配置やデザインの構想について
着物を2枚つかっていても殿姫の統一感を出すため、殿に使った生地を姫の表着(うわぎ)に配置しました。
また、姫の唐衣(からぎ)には総柄の菊を使いますが、袖の菊に友禅を挿し花を浮かしました。
ここは、当初刺繍か友禅かの加工を検討していたのですが、刺繍では生地と同化してまったく目立たなくなることから、友禅加工で手を加えることとなりました。
つぎに、姫の重ねである五衣(いつつぎぬ)を選定しました。
紅梅、萌黄、色々、といったパターンに加え、今回は橙(だいだい)の重ねを新しく考案して検討しました。これらのパターンをデジタルデータで検討いただき、最終的に「紅梅」での制作となりました。
お殿様の作りにおいては、本来の着物の裏地の赤を、お殿様の衣装にも効果的に使用しています。胸や袖口から綺麗な赤が垣間見えることで、衣装にメリハリがうまれています。
また、お姫様の唐衣につかった生地の一部を、お殿様の「下襲の裾」と呼ばれる背の帯のようにながい部分に使っています。裾は、時代によっては実際にお洒落な柄や文をいれ長く作られたものもあります。
最後に殿姫ともに帯につかった帯締めは色・デザインともに同タイプのものをお選び頂きました。このことで、このペアがより統一感のある組み合わせとなったと思います。
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