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雛人形 お殿様とお姫様の並べ方 [関東風とか京都式とかって?]

雛人形をみていると、お殿様とお姫様の並び方が違う場合がありますね。
向かって左がお殿様であったり、はたまたその逆もあり。

一体どう並べたらいいのでしょうか?
気にする必要はあるのでしょうか?

この記事では
・お雛様を並べるとき、お殿様とお姫様はどっちがどっちなの?
・関東風とか京都風とかいう人がいるけど、どういう意味なの?

という疑問にお答えしたいと思います。
とても簡単で単純な内容なので、ぜひ一度読んでみてください。

正解はどっちですか?

結論:どっちでも正しい
これが答えです。

「京都じゃないのに京都かざりですか?」
「京都なのに関東風ですね」
とかおっしゃる方もおります。
言い方によって相手が嫌な思いをしてしまう表現をする方もいます。
お店でご案内をしている時でも、そのようなお話をしたい方がいらっしゃいます。

そういう方のお話を聞くと、この方は以前にこの話題で嫌な思いをした経験があるのだろうか。と考えてしまいます。
相応の嫌な経験があるからこそ、その部分において他者に対しマウントをとるような発言や行為をしてしまうのだろうと思います。

ですので、そういった方も、そうではない何も知らない方も、
どうして「どっちでも正しい」のかを知ることで、
良い知識としてこの話題をしてもらいたいと思います。

京風、京都式等と表現される並べ方

まずはこの写真をご覧ください。

向かって右に殿(男性)、向かって左に姫(女性)が座っています。
この並びは画面の右側を東に見たててかざっているのです。
古来より日本では、左上位の文化です。
ですから、たとえば日本の朝廷があり天皇が政治を行う京都御所も南向き作られており、天皇から見て左側は太陽の昇る東となり上座となります。

<京都御所 紫宸殿>

あまり細かく書くと、いろいろな歴史の話が長々とでてくるので止めますが、
「古来からの日本独自の左上位の文化の通り並んでいる」
という事が、京風とか京都式とかいう並べ方です。

実際は、京風とか、京都式とかいう言葉は、人形屋は使いません。そういう言葉の定義がありません。
ただ、話が伝わりやすいとか、お客様に話を合わせるという事で使うこともあります。

だだし、京都の作家であっても、
その作品であったりお顔であったりお客様の感性によって、自由に飾られる方もたくさんいらっしゃいます。

関東風、関東式等と表現される並べ方

次にこちらの写真をご覧ください。

 ※ちょっとモダンな作品の例ですみません。(個人の好みがでてしまいました)

こちらは、向かって左がお殿様、向かって右がお姫様です。さっきと逆ですね。
なぜか。
これはというと、明治以降日本も西洋化が進み、大正天皇が公式の席で左上位とは逆のこの座りをしたのです。
そして、その後の昭和天皇の即位式において、正式にこの向かって左に男性がくる西洋式の並び方に変わりました。

即位式がある年というのは、雛人形業界においてはちょっと盛り上がる年なのです。
令和の即位式でも、天皇の衣装である「黄櫨染(こうろせん)」が話題になり、その衣装の雛人形が良く選ばれました。

<黄櫨染の雛人形>

想像ですが、昭和天皇の即位式によって、並びが変わることは、人形業界においても大きなイベントであったと思われ、それによっていろいろな販促が行われたのだと思います。
実際に、これを機に人形協会全体として殿が向かって左の西洋式の並びになっていったようです。

まとめ:どういう解釈をするかは自由

実際、京都の職人だけが左上位を続けているわけではないです。
他の地域のお店でも左上位をするところもあれば、京都のお店でも関東風に展示しているところもあります。

つまり、並び方の違いとその理由を知っていれば、どっちだってかまわないという事です。
そして、結果だけ見れば、なにも知らずに飾っていても良いという事でもあります。
例えば、今日は関東風、明日は京風、とかそんな感じで楽しんだら良いわけです。

何が言いたいかというと、「並び」はあくまで歴史や知識の一つの話題であり、
お雛様、雛人形、そして雛祭りを楽しむことに目を向けましょうということです。

おまけ

左上位の日本でしたが、昭和天皇の即位から急に反対にしたら、過去からのつじつまが合わなくなると思った方がいたかもしれません。

こちらの画像をご覧ください。令和の即位式の様子です。

天皇と皇后がそれぞれ作り付けのお部屋のようなものに入っていますが、
天皇が入っているのは「高御座(たかみくら)」、皇后がはいっているのが「御帳台(みちょうだい)」といいます。

よくみると「御帳台(みちょうだい)」のほうが後ろに下がっています。
そして、この部屋を真上からみると(真上からの写真は無いですが)
「高御座(たかみくら)」は部屋の中心に寄っていて、「御帳台(みちょうだい)」は部屋の右方に寄っているそうです。
一応、「天皇と並んで東に立つものはいない」という表現がされているということです。

以上、完全に余談でした(笑)