御節句の言葉には、一般生活に馴染みのない言葉がたくさんあります。
それを丁寧にお客様に説明できるようになれば、お客様との信頼が築けていけます。
今回は、雛人形の御道具の一つである「花」をご案内します。
左近の桜・右近の橘<さくら・たちばな>
雛人形のセットには、多くの場合、桜と橘が左右にセットされています。
これはなぜか、どういう意味で置かれたのかという事を知ると面白いです。
雛人形のセットにおいて、
向かって右が「桜」、向かって左が「橘」
と決まっています。
これは、決まっているのです。
左右逆においても縁起が悪いとかそういう事はありませんが、
置く場所が決まっているという事です。
これは、京都の紫宸殿から来ています。
紫宸殿は、内裏の正殿。天皇元服や立太子礼、譲国の儀、節会などの儀式が行われ、のちには即位礼の舞台となった。「南殿」や「前殿」、古くは「紫震殿」とも。 殿舎の南には南庭が広がり、北には仁寿殿が位置する。天皇の普段居住する殿舎である清涼殿に対し紫宸殿は公的な意味合いが強かった。
※出展はwikipedia
とあります。
画像はwikipwdiaより
雛人形はこの様子を模しているといわれています。
この建物の中にお殿様とお雛様がいて手前を向いているという配置です。
それで桜が向かって右(左近)となり、橘が向かって左(右近)となるのですね。
紅梅・白梅<こうばい・はくばい>
お雛様のセットには、桜橘ではなく、紅梅白梅をセットする場合もあります。
いわれとしては、この紫宸殿にある桜・橘のうち「左近の桜」については、もともとが梅であったという歴史があるからです。
この梅は、桓武天皇の平安京遷都のときに植えられましたが、その後枯れて死んでしまったことから、仁明天皇のときに桜に植え替えられたそうです。
つまり最初は「左近の梅・右近の橘」であったということです。
ただ、
お雛様の飾りでは、梅と橘で飾るのではなく、紅梅と白梅とで飾る花飾りとなっています。
由来等は今はわからないのですが、おそらく万葉集では花と言えば梅というのがありますから、そういった美しさという意味で紅梅白梅を使っているのかなと思います。
風情をたのしんで飾る
雛人形は季節柄、桜や梅、桃の花などが似合いますし、どれもが素敵な綺麗な花です。
ですが、雛人形を重陽の節句として秋に飾るという風習があったことから、
それなら夏でも冬でも楽しんで飾ればいいと思ってます。
※御嫁に行き遅れるという迷信は聞き流しておいてですね
そして季節に合わせた草花を一緒に飾ると良いと思います。
お雛様は一年中、一生楽しめる伝統工芸なのです。