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雛人形は触ったらダメ!?本当にそうなの?

「お雛さまに触ってはだめよ」
本当に触ってはいけないものなのか。

元々、お雛様の期限は、「ひいな遊び」という文化の側面があります。
「ひいな遊び」は人形遊びの事です。
そのひいな遊びと、「流し雛」という厄流しの文化が合わさって現代の雛人形の文化になっています。
※所説ありますが、この文化の流れが妥当です。
可愛らしいお人形であり、上等な衣装をまとった雛人形がどの言われで触ってはいけないものになったのでしょうか?

今回は、お雛様を触ってはいけないという暗黙の共通認識についてお話したいと思います。

お雛様は、「触っても良い」し「両手でもっても良い」

結論、お雛様は触っていいし、持ってもいい。手袋しなくてもいい。

そして、子供に持たせてあげてほしいですし、
持ち方を教えてあげてほしい。飾り方を教えてあげてほしい。
大切なものは、大切な扱い方を教えてあげてほしい。
そういうことを教えることができる素敵な時間だと思ってほしいです。

※ただし、この考えは誰にも押し付けません。私のポジショントークですし、
いや違うという方は、手袋をして持てばいいだけです。

雛人形は制作する過程のすべてにおいて、さまざまな職人が「素手」でつくっています。
当たり前のことですが、それを理解する必要があります。
そしてそれを購入し、自宅で飾りつけします。
どの場面においても、触っていはいけない場面も理由も存在しないのです。

触れることで、たくさんの情報を得る

人間は触覚があって、触覚を通して様々な情報を取得します。
そしてそれは、子供のであれば大人よりももっとたくさんの情報を読み取るのです。

たとえば、
あかちゃんや子供は、裸足で過ごすと足の発達に良いといわれています。
足の指を動かしたり、足で地面に落ちているなにかを感じたり、とにかくたくさんの情報を得ることができます。
そして、手に触れることでたくさんの情報を得ることも同じです。

大人だって同じです。

大切な自分のお雛様を手袋越しでしか触れないってどういうことでしょうか。

そしてお母さんと子供が一緒にお雛様を飾り付けすることがあると思います。
とても素敵な行為であり、自然と教育がされる場面です。
お母さんが大切にお雛様をもって、優しく並べて、丁寧に飾る。
それを娘さんが横でみながら、色々なことを感じて覚えるのです。

娘さんがお雛様を触りたいと言ったら、
言わなくても「触ってみる?」と聞いてあげたら、きっと「うん」というでしょう。

そこで、優しく丁寧に触る事を教えられるでしょう。
また、お雛様を素手でもつことで感じる物を、子供ながらに感じることができるのです。

着物は触って良くて、雛人形はだめ?

では、たとえば着物は、手袋して着付けするものでしょうか?
人が着る着物も、雛人形が着る着物も同じです。

手袋をしないと手の脂が付くという方もいます。

お顔や手は白いので、良くないことはわかりますしその通りと思いますが、
着物の部分に触れる行為にたいしても同じように言う方がいます。

着物は手だけでなく、いろいろな肌の部分も触れますが、
着るものは良くて飾るものはダメというのは、どういう解釈があるのですか?

もっと言うと、
泥が付いたり食べ物がついたり汚れた手でお雛様を触るわけではありませんよね。

その雛人形を大切に思っているなら、なおの事、手を洗ったり拭いたりして触りますよね。
どの部分が、咎められる行為にあたるのでしょうか。

業界人は当たり前のように素手で触っている

大前提として、素で持たなければ作れません。
また、梱包や持ち運びであっても、素手で持つことが一般的な作業です。

製造であっても、問屋であっても、小売り店であっても、商品として扱う時に素手で触る場面は必ずあります。
なぜなら、素手で触っても問題が無いからです。

そして、雛人形販売の接客において、老舗の人形屋さんは展示のお雛様をお客様に持たせたり触らせたりしています。
なぜかというと、
お客様に対し、言葉で色々と説明するよりも、手で持ってもらうことで伝える情報に自信があるからです。

その社長は数年前に亡くなってしまったのですが、人形研修という企画を何年も続けて、全国のたくさんの人形屋さんにたくさんのことを指導していました。

すべての工芸品はつくり「手」の思いがこもっている

ちょっと脱線しますが、
日本だけでなく世界においても、すべての創作物は人の手が作り出したものです。
そして作り出す工程において自然と思いがこもっていくものです。

良く人形の話をしていて、
「なんか言葉に良い表せないけど良い人形やな」
という話になるときがあります。
あーでもないこーでもないと話していて最後に、
「念がこもってるんやな」
という話になることがあります。

無意識に手を通じて様々なやり取りをすることができるのですから、
職人が一生懸命つくった雛人形を、自分の手で持って触って、雛人形の意味を感じてほしいと思います。