基本中の基本の考え。タイトルの通りですが、雛人形を買わなくてはいけないのでしょうか。
必要な物なのでしょうか。
雛人形ってなんなのかという話です。
これは不変の存在意義として
新しく生まれた女の子の命を守る身代わり人形としての文化
ということです。
始まりは平安時代、紙の人型を川に流すことで穢れを払う行事が源流といわれています。
時代が下り、子供の遊び道具としてのお人形とこの人型の文化が合わさり、子供の厄除けとして雛人形を用意する文化が生まれたといわれています。
現代ではそういった意味も引き受けつつ、一生のお守りとしての側面を帯びています。子供の時のみならず、その持ち主たる女性を守るため、病気やケガ、人間関係のあれそれや、やんごとなき事情といった様々な「厄」を身代わりにうける一生のお守りです。
こういった文化的な意味合いから、雛人形はインテリアや美術品ではなく、御守りという位置づけなのです。
雛人形って必要なの?
ここまでがよく言われる雛人形の存在意義です。
結論としては、あることが望ましいということです。
理由は3つです。
1)夫と妻それぞれの実家のため
おじいちゃんおばあちゃんが、お雛様を飾ったかな、大きくなったかな、会いたいなと思っても、
お嫁さん、子育てや家事でいそがしいからいったら邪魔かしらとか、
ダンナさんせっかくの休みなのにいったら疲れさせちゃうかなとか、
祖父母もいろいろと気をつかうんです。それでも、こういうイベントがあったら会いに行く理由づくりにしやすいですよね。
2)妻の両親のため
結婚式は両親のためにするものだと良く言いますよね。結婚する二人のためじゃなくて、育ててくれた両親に立派に成長した自分を見てもらうため。
雛人形も同じですね。一般的には妻の両親はお雛様を購入して送る側になります。
かわいい孫のためにお金を使いたい、そしておくったお雛様を大切にしてもらいたいと考えています。
※孫がたくさんいる祖父母さんは、もう雛人形を買うことにうんざりしている方もいらっしゃいますが^^
娘心、息子心としては、いやいやそんな高いの買ってくれなくていいよとか、そもそも買わなくていいしと言ってしまう方もいますが、
祖父母の世代というのは、生活が苦しく、お雛様を買ってもらえなかった方も多いのです。だから、孫に雛人形を買って上げれるというのは自分にとって誇らしい行為なのです。
だから、買ってもらわなくていいというのではなく、せっかくだからしっかりと雛人形をしらべて自分に合ったちゃんとしたものを買ってもらい、大切にすることを親孝行としてするべきなのです。
それによって祖父母は心から満足して孫のために贈り物を送れるのです。
3)こどものため
雛人形が厄除けで子供が病気にならないからというスピリチュアルな話を大真面目に説くつもりは毛頭ありません。
では、どういうことかといいますと、
「雛人形を飾ってひな祭りをする」というのは、単に年中行事の1イベントということではなく、日本文化の継承になります。
そして、お雛様を飾ってひな祭りをする家庭は、きっと男の子が生まれたときには五月人形をかざり、初夏は七夕、お盆にはお墓参りをして、秋は月を見上げ、年末は大掃除をし年越しそばをたべて、年明けは初詣に行くでしょう。
一年の中で、日本の文化にかかわる行事をすべてではなくとも生活に取り入れ、子供にもお話するでしょう。
つまり「雛人形を飾る家」は「文化を大切にし楽しんで生活に取り入れる家」が多いのです。
これは子供が知らず知らずのうちに、いろいろな知識や教養に触れ育つことが期待され、結果として成人したのちにそのような知識や教養が社会人生活においてその子の身をまもるということにつながっていくのです。
私としてはこの3)の理由がやっぱり一番納得します。
雛人形がその子を守るというのも、こういう意味なのだろうと考えます。
雛人形はそろえたほうがいいです。
そしてせっかくそろえるなら、自分がしっかり見て選んでいいと思うものをリクエストするといいでしょう。
でもやっぱり少し本音を言うと、業界をみてきた立場から、人形業界にお金が回ればいいなという思いもあります。
たくさんの職人さんが高齢化しつつも細かな作業を丁寧に延々とされているのを見てきました。
この方たちに正当な対価が支払われることで、あとに続く若手が産業として可能性を感じてくれたらという思いもあります。