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雛人形の規格の呼び方と大きさについて

雛人形の大きさを表すときに表記する規格についてのお話です。

表記としては例えば、
「京十番親王飾り」とか「三五親王飾り」とかの記載がある場合があります。
「親王飾り(しんのうかざり)」と書いてある部分の意味は単純に、殿と姫の二人飾りという意味です。

下記すべて殿・姫のペアという意味です。
<殿と姫の二人を示す言葉>
親王(しんのう)、内裏雛(だいりびな)、お内裏様(おだいりさま)、お雛様、雛人形
※どれも、お殿様だけ・お姫様だけを指す言葉ではありません。

そして大きさを示している部分が、「京十番」とか「三五」という部分になります。
まずは基本となる大きさとして「京十番」という呼び方があります。これを基準に説明をしていこうと思います。

基本として「京十番」の意味とその大きさについて

京十番とは、「昔の人間の大体、10分の1位の大きさ」という意味になります。
実寸としては
お殿様で、幅25cm前後・奥行22cm前後・高さ18cm前後(烏帽子をかぶらない)となります。
お姫様で、幅28cm前後・奥行29cm前後・高さ17cm前後となります。
※すべて最長の部分を測っています。

以下の写真は大阪にある「小出松寿」の京十番です。

そうですね、人形単体の大きさを示してもイメージが湧かないと思います。
実際はこの京十番を飾る場合には、屏風やお道具が含まれる「望ましい広さ」というのがあります。

結論から言うと、京十番の雛人形を飾るスペースは間口(幅)75cm位 奥行40cm位 あると良いです。
そしてもう少し広く間口80cm、奥行45cm位あるとゆったりと飾れて尚良いでしょう。
ただし、これは店によって多少前後します。最小間口幅で65cm位から、奥行は38cm位から飾れます。
どのお店も京十番の雛人形を飾るセットは、この範囲で組まれているはずです。

この大きさについては「出し飾り」に限ります。ケースに入っている雛人形は、後ろの着物を短くし奥行を抑えたり、人形の胴体に入れる綿を省略したりすることで表記上の規格より小さくつくられ、ケースをコンパクトにする場合もあります。

京十番とは、「昔の人間の大体、10分の1位の大きさ」でした。
では京九番でしたらどうでしょうか。
そうです、「昔の人間の大体、9分の1位の大きさ」になります。
つまり数字が小さくなると人形は大きくなり、京一番は人間の実寸という事になります(見たことはありませんが)。

店頭で一般的に見かけるサイズは、

  • 京九番(間口90cm~で飾ると良い)
  • 京十番(間口75cm~で飾ると良い)
  • 京十一番(間口60cm~で飾ると良い)
  • あたりが多く、昨年くらいからはもう少し小さく

  • 京十二番(間口50cm~で飾ると良い)
  • 京十三番(間口45cm~で飾ると良い)
  • というのも増えてきました。

    関東読みと関西読みの規格は異なる

    そしてややこしいのが、「京」が付かない表記が存在します。
    たとえは「小十番」とか「十番」とか「三五」という表記です。
    これらは「関東式」とか「関東読み」とか言い、「京」が付く「京式」とか「関西読み」とかいう表記法とはサイズが異なります。
    そうです、異なるのでややこしいのです。

    簡単なイメージの例では、

    関西読みの「京十番」は、関東読みの「三五」というサイズに「近い」です。
    同じではなく近いという感覚です。少し三五の方が小さい傾向にあります。
    また、関西読みの「京九番」は、関東読みの「小十番」に近いです。

    この、近いという感覚がまたややこしいところです。

    最近の小さな雛人形でしたら、
    京十二番に対し、「芥子(けし)」という呼び方があり、同様に京十三番にも「柳(やなぎ)」という呼び方があります。これらは関西・関東どちらでも使われます。そのほかにも「三寸(さんすん)」とか違った表記をする場合もあります。

    作家によって規格は異なる

    さらにややこしいことがあります。
    それは、「京十番」と表記があっても作家が変われば大きさが多少変わるという事です。
    業界の標準規格というものは存在せず、作家それぞれが、独自の型紙で生地を裁断し着せ付けをすることによって着物の長さや膨らみなどが変わるため、作家それぞれのサイズというものができてしましいます。

    多少であれば良いのですが、
    一例ですが関西の作家が作る「芥子」と関東の作家が作る「芥子」では大きくサイズが変わる場合があります。ワンサイズ位の差ができてしまう場合もあるのです。

    例でいうと、靴のサイズが分かりやすいと思います。
    ナイキやアディダス、アシックスといろいろなメーカーがありますが、26cmというサイズを履き試してみても、メーカーによって爪先が狭い・広い、幅が狭い・広いなど全然違います。
    このようなことが起きていると考えると自然なことなのかなと考えられますね。

    私たち業界で働くものでも注文時はサイズ間違いが無いように慎重になるところもあります。

    消費者はどうすればいいのか

    では、どうすればよいのか。

    たとえば大きさを見る場合は、その雛人形がセットされている飾り台のサイズをみると良いでしょう。
    80cm位であれば京十番や三五親王かもしくは小十番、京九番あたりが少しだけ窮屈になっているかもしれません。
    もっと言うと、人形の規格やサイズを無視して良いとも言えます。

    結論としては、人形の規格やサイズ表記を無視し、実際に飾っているセットの大きさを見るのが良いでしょう。
    そうすることでセット自体の寸法をもとに、家の中の飾るスペースを想像することができます。

    また、そのセットに対して人形が狭苦しく飾られていないか(人形が大きすぎる)、
    セットに対して人形を置いてスカスカに空間が空きすぎていないか(人形が小さすぎる)、
    という感覚で見てもいいでしょうし、

    人形は好きだけど、飾り台や屏風が大きすぎて買っても飾りづらいなぁと思ったら、
    ・人形だけ購入出来ないか
    ・飾り台はセットから省けるか(飾り台の幅と奥行きが最大寸となるため)
    ・セットを変更できないか
    などを店員さんに相談すると良いでしょう。
    これは、インターネットではなかなか対応が難しいところではありますが、店頭で相談する分にはどの店でも可能だと思います。

    こと、インターネットではサイズが分かりにくいという事があり、各社さんともになるべくサイズが伝わりやすいように工夫を凝らされていることでしょうが、やはり実物を見るのが一番ですし不安も心配もないと思います。