「ひなのすすめ」でおすすめしている[自分の着物で雛人形を作る]のご案内。
今回は、着物を選んだあとにする作業工程となります。
ここからは、人形師・雛工房の仕事になります。
着物の柄を、どのように雛人形に落とし込んでいくかは悩みどころではありますが、この構想次第で雛人形の雰囲気が大きく変わることから丁寧な作業が求められます。
着物の柄の中の主役や脇役を見る
絵画はその絵の中に作者の伝えたいことやメッセージが込められていますし、そういうものを見た人に伝えることが絵で表現するということです。
歌や詩、デザインというもの全般にそういう事があります。そして着物も同様であると思います。
着物の柄やデザインも星の数ほど種類がありますし、刺繍や手描き友禅であれば無限に表現を生み出すことができます。
この「着物」の柄の中に、本質的なデザインを見るということも作業者の経験が生きる部分です。
例えば「流水」や「桜」の柄があればそのどちらかというと「桜」という花を主役として流水が風情を表現しているように描かれているのが多いです。
このように、絵のパーツ一つ一つをみることと、パーツの流れと配置である構図を細かく見ていく必要があります。
雛人形のサイズに落とし込んだイメージを描く
着物というものは人間が着るものでして140cm~160cm位の女性が一般的なサイズ感ですが、この大きさに合わせた柄のサイズのまま、雛人形の着物に使う必要があるのです。
ですから、作る雛人形を小さい作りにすると、柄が大きすぎてわからなくなるという事があります。
このため雛人形の大きさは一定の大きさを保つ必要があります。
具体的には最低で「京十番」サイズ、可能であれば「京九番」や「京七番」が着物をしっかり見せてくれます。
※雛人形のサイズについては以下をご覧下さい。
以下は例ですが、着物や帯地を使った雛人形の参考写真です。
<京十番で作った例>
こちらは人形単体で35cm位の幅があります。
これ位の雛人形のサイズを想定すると柄が綺麗に表現されます。
実際にはこの段階で雛人形にした場合の柄の出方などを予測しておきます。
この作業で柄の大きさから雛人形のサイズを決定しますが、特に希望がなければ京十番の大きさを想定します。
雛人形を大きくしたい・雛人形を小さくしたい等の希望があればこの段階で提案をします。
たとえば、柄が小さく細かい場合は、雛人形のサイズを京十一番というコンパクトなサイズで提案できます。
費用は、京十番を作る場合と大差ない事が多いです。
まとめ
この段階の確認項目は以下となります。
・着物の質・状態の確認
→傷み具合を確認 虫食いや変色があってもその部分を避けて制作が可能だが、
とれる生地の面積や柄が少なければ制作不可と判断しています。
また、正絹や化繊などの素材を確認しておきます。
これは、素材によって下処理が変わる工程があるためです。
・着物の柄やデザインの確認
→雛人形にした状態を予測しておく
・希望の人形の大きさを確認
→お客様の希望をヒアリングし、思い通りの大きさでの制作が可能かの判断をします。
この工程がおわりましたら、「工程その4 着物の撮影」に入ります。