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雛人形 選び方(8) 雛人形(五月人形も)をネットで買うのはどうなのか。心配毎と注意点は?

令和6年現在、高額な商品であってもオンラインショップで購入することが増えてきている時代ですが、
そんな中、お雛様・雛人形や五月人形(鎧・兜・子供大将など)を実物を見ずにネットで購入することに心配はないのでしょうか?

注意点はないでしょうか?

私たち販売をする側の人間からの目線で注意点や確認すべきこと等をご案内したいと思います。
「え!こんなことでだまされるの?」
とか
「それは騙されるよ!」
ということも良くありますのでよく注意してくださいね。

特に私は節句人形のWEBショップの開発や運営、代行をする業務を受託することもあり、
さまざまな専門店さんのオンラインショップやInstagramなどを調べる機会が多いので、
他の方とは違った目線でのアドバイスもできると思います。

雛人形業界(五月人形業界)の特徴について

この業界は、販売期間がとても短いため、短期間に売上を立てなければいけません。
この短い期間の売り上げだけで、次の商戦のための仕入れをしなくてはいけないし、そもそも一年間の会社の運営費をまるまる稼ぐ必要があるからです。
そのため業界の小売はどこも以下の特徴があります。

 ・顧客数が限られているため、効率よく利益を上げなくてはならず商材が高単価になりやすい
 ・売れ残りが命取りになるため、在庫は多く持ちたくない
 ・閑散期が長いことから固定人件費を抑えるために、正社員が少ないorいない
 ・短い繁忙期はオーバーワークになりやすい

下二つは詐欺サイトについてあまり関係ないですが(笑)

また業界としての特徴もあります。
 
 ・少子高齢化にあるため、市場規模が小さい
  →10年前は600億程度といわれていましたが、現在は4~500億程度ではないでしょうか。
 ・市場規模が小さいため、大手企業の参入が無い
  →大資本が参入しても投資を回収する目途が立たないため、既存企業のみで回している印象。
  製造や小売の分野で小さなお店が現れたりしているが、同じ数以上に毎年倒産するお店も多い。
 ・市場および需要が限られているため、機械化・工業化しずらく(投資できない)、だんだん生産能力が減少している

これらの特徴は人形業界のみならず着物業界や伝統工芸品の製造関係など関係する仕事なども縮小していっています。
また、小売販売でいえば、そもそも人形専門店にどれだけの人が行くでしょうか?
人形専門の販売店がどれだけリスキーな業種であるかも理解しやすいですし、毎年どこかかしらで閉店の話を聞きます。

こういった業界ではありますが、それでも詐欺サイトは毎年増えているように思います。
以前はネット検索に上がってくるサイトに詐欺サイトが混在していましたが、
現在はそれに加えて、instagramの広告枠にも出現するようになりました。
※このInstagramの広告枠というのが曲者です。

それでは、どのような対策が有効かを見ていきましょう。

お雛様や五月人形の詐欺サイトの調べ方について

1)ドメインやトップレベルドメインを確認する

 まず、WEB検索をしてWEBショップを見たらドメインを確認します。

 ドメインとは
 「https://hinano-susume.com/」
 のように、httpsで始まる文字列です。

ちなみに以下の二つは同じサイトです。
 「https://hinano-susume.com/」
 「https://www.hinano-susume.com/」
 ※このwwwはあっても無くても同じサイトになります。

 トップレベルドメインとは、
 「https://hinano-susume.com/」
 のように、.(ドット)の後に表示される単語です。

 ちなみに
 「https://shop.hinano-susume.com/」
 のように途中で・(ドット)が二つ以上くる場合は、最後のドットの後を見ます。
 
 また、以下のように後ろに2個続くことで正しいものもあります。
 「https://www.yahoo.co.jp/」

 「https://shop.hinano-susume.com/product/kimonohina/」
 のような場合、つまりURLが長い場合は最初のスラッシュ(/)が来る直前のドットを見ます。
 例)
 「https://shop.hinano-susume.com/product/kimonohina/」
 URLの仕組み上、ドットはこのスラッシュ(/)以降現れる事は無いので、
 結局は最後のドットの後ということになります。

1-1)ドメインをどのように見るのか

たくさんのサイトを見て経験・肌感覚をつかんで下さい。
そのうえで以下のような内容に注意してください。

 

URLが変な気がする

  一般的にURLは会社やお店を表し、意味を持ち、覚えやすさを意識して作られます。
  例えば、トヨタならtoyotaですし、久月ならkyugetsuです。
  この部分で「違和感」を感じるサイトはすでに見てはいけません。

  私が感じる違和感の例としては
  ●意味のない・意味を理解できないアルファベットの羅列である
   →意味があるかもしれないが、「雛人形」を販売する以上、
    日本語で連想できないローマ字羅列ではお客様に覚えてもらう意識が無い。
    つまり、道徳的な商売をする気が無いと考えられる。
  
 

トップレベルドメインが変な気がする

  トップレベルドメインというのは「.com」や「.jp」のように、URLの最後に来るドット以降の文字列です。
  ここも通常日本国内で営業している会社やお店であれば以下のようなドメインが一般的です。
  .com
  .net
  .com
  .biz
  .info
また、以下のようにドット二つで二つの単語がつづいているものもあります。
  .co.jp
  ここまでは問題にならないと感じます。その次ですが

  その他、国別ドメインというのがあって
  .jp (日本)
  .us (アメリカ)
  .cn (中国)
  .uk (イギリス)
  などがありますが、

    ひな人形の販売サイトが日本であることはほぼ明白なので、
  他国のドメインである場合はそのサイトを見なくてよいと考えられます。

 

そうでない場合もあるかもしれませんが、リスクがぬぐえないため排除してよいと考えます。

  

2)会社情報や企業情報のページを見つける

雛人形に限らずインターネットで商品を購入するという行為において基本的な確認です。

2-1)該当するような情報のページが見つからない。

 問題外です。判断する必要なく詐欺サイトです。

3-1)会社情報ページをどのようにみるか

・電話番号があるか
 →最近は載せないところもありますが、高額商品を購入することを考えるとメールではなく電話での問い合わせができることが安心材料になります。
・メールアドレスの表記があるか
 →問い合わせフォームがあれば良いかと思われますが、それでは本当にメールが届いているかはわかりません。
 問い合わせ後に、問い合わせ内容を記録としてメール返信してくれる所ばかりではありません。

問い合わせ対応として電話番号とメールアドレスの二つが確認できなければ不安が残りますね。

・住所は正しいか
 →グーグルマップで確認してください。 
  存在しない住所であったり、マンションの一室であったりする場合もあります。
  アマゾンやらなんやらで個人販売しているならばまだしも、個別のWEBショップでそのような場合は注意してください。

どうしても購入したい場合は、メールするよりも電話するのが一番確実です。
現代はその電話というツールが疎かになっていますが、確実に確認できる方法の一つです。

3)「特定商取引法に基づく表記」というページを見つける。そして熟読する。

オンラインショップをするにあたっては必ずこのページを作成しなくてはいけません。
いくつかの正規店でもこのページが未作成であったり、情報不足である場合がありますが、
特定商取引法に基づく表記が義務付けられており、必ず必要です。

※ネットショップで商品を販売するのは「通信販売」にあたり、義務付けが該当します。

このページで見るべき箇所は

事業者の氏名

 →商業登記簿に記載されている会社名もしくは個人名を正しく表記する必要があります。
 サイト名や偽名(通称名)ではだめです。

住所

実店舗がある場合はその場所。実店舗が無いネット販売専門であれば、その活動を行っている場所です。
住所の一部を省略することは認められていません。
 →GoogleMapや各種地図アプリで調べてください。
 一部の住所が省略されている場合や、存在しない住所、またはまったく違う人・会社の住所である場合があります。

連絡先

電話番号やメールアドレスの記載が必要です。
とくに電話番号が無いのはダメです。

これ以外に表記しなければならない情報は多々ありますが、
以上の三つは必ず確認してください。
その他の情報はより細かく、消費者目線での表記があると好印象ですね。

ショップページのサイトロゴや画像を確認する

以前からよくある詐欺サイトでは、有名雛人形ネットショップの外観を真似したデザインが多々あります。
ロゴや商品画像まで綺麗に盗用されており、一見騙されてしまいますが、
私たち同業者からみたらありえない価格で販売しているため分かります。

しかし、一般ユーザーからみたらその価格は特別価格なのだと判断してしまってもおかしくありません。
また、これまで説明したようにURLの確認がみんなができるわけではありません。

ただ、この場合も上記のように、URLや会社情報の確認をすることで被害を回避できます。

InstagramやGoogleの広告枠に注意する

SNSや大手検索サイト、大手ショッピングサイト内においても詐欺サイトへの誘導広告は存在します。

これは、運営元の広告代理店・広告購入企業にたいする管理機能が不足している点ですが、
これらも消費者が賢くならなければならりません。
そしてやはりこれも
URLや会社情報の確認をすることで被害を回避できます。

まとめ

詐欺サイトの対策は結局のところ、人任せにはできないという点につきます。

だまされる人は、誰かのせいにして被害者になりたがりですが、それでは何度でも騙されます。
自分で調べ確認し確信を持たなければいけません。
それは、すべてのネットショップだけに限らず、対面販売においても同じです。