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雛人形とのお別れ 処分はどうするの?<人形供養をする>

 雛人形は、買っておしまいではなく、一生を見守るお守りとしてお付き合いしていくことになります。
では、一生というけれど実際のところどうなのかというお話をします。

 雛人形は持ち主を守る身代わりとして過ごしますが、では、一生お別れしないのかというとそんなことはありません。一生お別れしないとなると、ちょっと気持ちが重たく感じてしまうのではないでしょうか。
本来は一生お別れしないでよいものですが、昔と違い現代は年齢を重ねるごとにライフスタイルがかわります。

 昔は結婚するまで実家におり、飾り付けとしまい込みを毎年同じように繰り返し、結婚したら旦那さんの家に持っていきました。そして、そこで毎年飾り付けをしていました。

 しかし、今は、そうではありません。実家で過ごすのは大学に行くまでの間であり、その後は親元を離れ一人暮らしのワンルームへ、就職したら1LDKへ引っ越し、結婚してもう少し広い所へ引っ越し、子供ができて狭く感じてくると今度は2LDKや3LDKへ、そしていつしか子供が巣立つと、小さな家にまた引っ越すかもしれません。

どうでしょう、お守りとして雛人形を常に持ち歩くなんてできませんし、できたとしても大事に扱うのは難しそうです。そこで、一般的には「お役目」を果たした雛人形とお別れする方法として、「人形供養」をすることになります。

雛人形はお守りとして持ち主の厄災を一身にうけて、持ち主を立派な大人になるようみまもってくれます。その雛人形も、持ち主が心身ともに大人になることで役目を果たしたと考えられてきました。

人形供養とは

 雛人形はただの「物」ではありますが、そこには歴史と思い出が積み重なっているはずです。祖父母が選び、父母が毎年一緒に飾り付けをして、そうやって貴方を思う家族と、その家族の思いが幾重にも重なってあります。
 そういった雛人形に対して、物として「捨てる」ことに抵抗が生まれるの人間としての普通の感覚です。むしろ、両親や親族の教育や躾がよかったことが貴方の心を豊かにした結果ともいえます。

では、これをどうするかというのが「人形供養」ということになります。

人形供養とは、お寺さんで人形に対しお経を読み供養し、魂を抜いたのちに、空っぽになった入れ物として人形を焼却することです。

 古来より思いや歴史がこもったものに魂が宿るという考えがありますが、それが雛人形のように「人」の形をしていればなおのことです。実際のお守りと同様、雛人形には身代わりとしての魂が宿ると考える風習もあれば、そのような解釈をしない方もいますが、これを、「お焚き上げ」という方法で供養してお別れをするというのは日本的な美学かもしれません。

今までの感謝を込めてお別れをする。
そういうことをしっかりすることは、本人の心にも良い影響がありますし、そういう行動をしたあなたを見る周りの人間にも良い影響を与えます。

人形にくっついてるお道具は

魂が宿るという概念、もしくはそうでなくとも人の顔形があることで思いがこもっているようなものは、上記のとおり人形供養という方法で別れることが良いと思いますが、それ以外の屏風や雪洞、お道具などの付属品についての処分はどうするのか。

これらは、供養をしてくれるお寺やお店にもっていってはいけません。雛人形を彩る「装飾品」というものなので、魂や思いが宿るとは解釈せずに、法律にのっとった廃棄方法にしたがって処分する必要があります。
大型の段は粗大ごみとして廃棄費用が掛かるかもしれません。ガラスケースは燃えないゴミとなるでしょう。そのほか、金属やプラスチックや木製品などが綯い交ぜになっている場合はどうしたらよいか難しいかもしれませんね。
面倒ですが、しっかりとゴミの区分資料を確認しながら廃棄をしてください。

このことから、雛人形本体以外のお道具を選ぶときは、素材や廃棄のことも考えて選ぶのも一つの見方です。
※そのように考えたことから、私は雛人形本体以外はすべてコンパクトな木製品としました。将来は燃えるゴミになります(笑)