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節句人形販売員が知っておくと便利な知識 [黄丹袍(おうにのほう)]

皇太子黄丹袍

御節句の言葉には、一般生活に馴染みのない言葉がたくさんあります。
それを丁寧にお客様に説明できるようになれば、お客様との信頼が築いていけます。

前回は天皇の衣装である「黄櫨染」を紹介しました。
今回は皇太子(時期天皇)の衣装である「黄丹袍(おうにのほう)」を紹介します。

黄丹袍とは

wikiには、

皇太子もしくは皇嗣が儀式の際に着用する束帯装束の袍のことである。この名前は梔子(くちなし)と紅花(べにばな)で染めた色名の黄丹からである。

とあります。

これは、衣装の名称です。
染め色は「黄丹(おうに)色」です。
オレンジ色に近いです。これも、染め環境によって多少違いが出ます。
そもそも染め自体が全く同じ色を出し続けることが難しいのですが。
黄丹色で染めた「袍(ほう)」なので「黄丹袍(おうにのほう)」と言います。

文は
「か中鴛鴦」(かのなかにえんおう)
「窠中鴛鴦」(かのなかにえんおう)
「窠に鴛鴦丸」(かにえんおうまる)
等と言われている文で、瓜(うり)を輪切りにした形の中に、オシドリが一羽描かれています。
※すみません。著作権フリーの画像は持っていません。

皇太子徳仁親王(現天皇陛下)と皇太子妃雅子(現皇后陛下)の結婚式の様子

雛人形業界における黄丹袍について

黄櫨染と同様の扱いとして商品化されます。
つまり、雛人形に伝統・権威・格式を求める消費者への販売が期待されています。
また、黄櫨染と同様、その歴史や経緯を説明することで、顧客の中へ黄丹袍に対する価値観を芽生えさせることで販売するというパターンもあります。いづれにせよ、商品特性としては黄櫨染と同様のカテゴリに位置しています。

販売する立場での経験

黄櫨染ほどの認知度は無く、この衣装の雛人形を、特別探している顧客もいるとは思えません。
対象となる顧客の層が黄櫨染のそれと同じであるため、黄櫨染と検討できるポイントは「色」しかありません。
このオレンジが、黄櫨染の「ブラウンゴールド」より圧倒的に評価された時のみ、販売できる可能性が見えてきます。

※遠まわしに売りにくいという感覚を表現しています💦

ですので、必要な商品ではないというのが個人的な感想です。
ただし、販売店として在庫がある・入荷予定があるという場合は、最低限の知識をつける必要があります。
また、そうでなくても節句屋としては、最低限知る必要がある知識と思います。